大学・中庸 読後感想

金谷治 訳注、『大学・中庸』 岩波文庫読了。
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清貧の思想 読後感想

中野孝次 著、『清貧の思想』 文春文庫読了。

ユダとは誰か 読後感想

荒井献 著、『ユダとは誰か 原始キリスト教と『ユダの福音書』の中のユダ』 講談社学術文庫読了。

ユダの福音書はキリスト教の新約聖書外典の一つで、その存在は古くから知られていたのだが、現物や写本は長い間見つかっていなかった。しかし2006年に、1970年代にエジプトで発見されたパピルスが、コプト語で書かれたそれであることが発表され、この魅力的な題名の外典は、約2000年もの時を経てようやく我々の前に姿を現したのである。

ユダとは、イエスを裏切ってローマ帝国に売り渡した、キリスト教における最大の悪人であるが、ユダの福音書は、彼こそがキリストの真意を伝えられた特別な弟子であったと主張する。これだけを聞くと、歴史ミステリーのようで、大変興奮させられるのだが、かつてこのような考え方が存在したことは、歴史的には古くから明らかにされている。古代ローマ時代に形成されつつあった原始キリスト教は、イエスという存在をどう考えるかなどの神学的論争真っ盛りで、その闘いに勝ち抜いたのが今のカトリックであり、東方正教会なのである。論争に敗れた派閥は、主流派から異端と呼ばれ、排斥された。長いキリスト教の歴史における最大の異端は紀元1世紀ごろに興ったグノーシス派で、ユダの福音書はその出自ではないかといわれている。

グノーシス主義というのは、ひとことで言えば物質と霊の二元論を主軸とした世界観をもつ考え方で、要するにこの世は良い神様と悪い神様の果てしないバトルでできているというものである。神様はただ一つという絶対的一神教よりも、我々日本人にとっては理解しやすい気もするのだが、とにかくこの考え方はキリスト教的には異端なのである。

ユダの福音書からは、この世の目に見える物質を想像した創造神と、その母体ともいえる至高神との対立の図式がうかがえ、これはグノーシス派による世界創造神話の上に構築されていることを意味している。ユダの福音書では、ペトロをはじめとするイエスの弟子たちは、至高神の神性に向き合わず、自分たちで勝手に神を作り出してそれを奉じていると、イエスからは嘲笑される。これに対し、イエスが至高神のいますところからやってきたと知るユダは、真実を授けられるに値する者としてイエスに選ばれる。つまり、天にまします父(至高神)による人類救済計画の完遂のための、イエスが肉体を捨て去るという重要イベントである磔刑の引き金を引く者として指名されたと、こう考える。グノーシスの神学は、創造神を悪い神、至高神を良い神として、この2つの神が対立するという図式なわけである。

ユダを除くイエスの弟子たちは創造神を崇めているが、これは彼らの系譜上にある原始キリスト教会主流派を批判する意味もあるので、ユダの福音書の著者の立場は、主流派に反対するものだったことがわかる。キリスト教はなぜ、教義論争が非常に盛んなのか。自分はこの点にとても興味がある。この点で本書は明快な回答を与えてくれるわけではなかったが、とても面白く、知的満足感を得ることができた。ただ、グノーシスについて予備知識がないと、読み続けるのはかなり苦しい本だと思う。

また、常々感じることだが、正統派から異端と呼ばれる者の中にこそ、真実があるのではないかということが気にかかる。これは宗教に限らず、人間社会のあらゆるところに顔を出すことだ。出る杭は打たれるという言葉は、異端を誅する主流派を、遠巻きに見る隠れ主流派の言葉だと思うが、どうであろうか。暗い気持ちになる。

なお、本書はユダの福音書という題名だが、他の福音書は正確にはマルコ『による』福音書と読み、本書の原文はユダ『による』福音書とは読めないのだという。そしてもとはギリシャ語で書かれ、それがコプト語に翻訳されたものであるらしい。ギリシャ語で福音書と福音は同語であるから、本当はこの書物は『ユダの福音』と読むべきかもしれないとのことである。これは大変説得力のある説ではなかろうか。



昨年後半の読書

後半はちょっと大物に挑戦した。

日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか 文春新書 岩瀬昇
失敗の本質―日本軍の組織論的研究 中公文庫 戸部良一ら
日本人の死生観 岩波新書 RJ リフトンら
パンセ 中公文庫 パスカル
漢文訓読入門 明治書院 古田島洋介
会社の中はジレンマだらけ 現場マネジャー「決断」のトレーニング 光文社新書 本間浩輔ら
医療はとってもいい仕事 -だから外科医はやめられない 薬事日報社 澤田勝寛
葉隠 知的生きかた文庫 奈良本辰也
石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門 文春新書 岩瀬昇
トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 中公新書 山本紀夫
『ユダ福音書』の謎を解く 河出書房新社  エレーヌ・ペイゲルス
古代末期の形成 慶應義塾大学出版会 ピーター・ブラウン
リア家の人々 新潮社 橋本治
平澤興一日一言 (生きるとは燃えることなり)  致知出版社 平澤興
武士道 PHP文庫 新渡戸稲造
イタリア現代史 - 第二次世界大戦からベルルスコーニ後まで 中公新書 伊藤武
菜根譚 岩波文庫 洪自誠
学問のすすめ  致知出版社 福沢諭吉
貞観政要 ちくま学芸文庫 呉兢
ジャン・クリストフ(全4冊) 岩波文庫 ロマン・ロラン

そして2017年になって現在まで以下の通り

周―理想化された古代王朝 中公新書 佐藤信弥
芭蕉 おくのほそ道―付・曾良旅日記、奥細道菅菰抄 岩波文庫 松尾芭蕉
城と宮殿でたどる! 名門家の悲劇の顚末 青春出版社 祝田秀全
おくのほそ道―現代語訳 角川文庫 潁原退蔵

以上!

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主にヨンサンを中心に作っています。作ったり作らなかったり、はなはだ不安定な模型ライフですが(^^;;)

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